こんにちは

カウンセリングサービスのなかやしのぶです。

 
私は子どもたちが小さなころ、よく物語を作ってあげていました。
このブログでも、そのころ作ったお話を載せています。

その当時、お話作りは日課のようなもので、常にどんなお話を作ろうかなってことで頭がいっぱいでした。

私は、お話作りがとっても楽しくて、話しができあがると、子どもたちや夫が笑ってくれるかな、喜んでくれるかなって反応が楽しみで仕方ありませんでした。

 

子どもが、自分でお話を作れるようになったり、もう親と絵本を読むという年齢でなくなったころに、私のお話作りは終わりました。

子どもたちが、親と一緒に楽しむことから離れて、友だちと、自分で楽しめるようになっていったので、それはそれでとてもいいことでした。


だから、お話作りは卒業していたつもりだったんですけど・・・

 

久しぶりにお話を作ってみました。

 

みなさんの心に届いたら嬉しいです。



タンポポ


「お母さんとひとつ」

 

 

もともと、女の子とお母さんは、ひとつでした。

女の子にとって、お母さんは自分の一部だったし、世界そのものでした。

そこには、さみしさも、悲しみも、苦しみもありませんでした。

でも、嬉しさや喜びというものもありませんでした。

ただ、あたたかさと心地良さだけがありました。

 

*

 

女の子は、お母さんが大好きでした。

 

まだ女の子が赤ちゃんだったころ、

お母さんは、1日に何度もミルクを飲ませてくれました。

オムツだって何度も何度も、かえてくれました。

小さなお風呂にも入れてくれたし、眠たくなったら、眠るまでやさしく抱っこしてくれました。

そこには、いつもお母さんの温もりがありました。

 

女の子は、少しずつ大きくなっていきました。

はじめて寝返りをうつと、お座りができると、立つことができると、歩くことができると、

お母さんは、声をあげて喜びました。

女の子は、お母さんが喜んでくれることを、とても嬉しいと思いました。

だけど、もっと嬉しかったのは、

お父さんが、女の子を見て嬉しそうに笑うと、お母さんがとてもしあわせそうな顔をすることでした。

 

*

 

女の子は、お母さんが大好きでした。

 

お母さんは、小さなお花が好きでした。

だから女の子も、お花を好きになりました。

お母さんは、雨降りが嫌いでした。

だから女の子も、雨が嫌いになりました。

 

 

女の子は、お母さんにタンポポの花をプレゼントしました。

お母さんは、タンポポを受け取って、とてもとても喜びました。

女の子は、そんなお母さんを見て、嬉しくてしあわせだと思いました。

 

*

 

女の子は、お母さんが大好きでした。

 

女の子は、「雨だから、濡れるのが嫌だから、学校に行きたくない」、と言いました。

お母さんは、「雨ぐらいで何言っているの、早く行きなさい」、と言いました。

 

女の子は、心がチクッと痛んで、ほんの少し涙が出そうになりました。

 

*

 

女の子は、大人になって、女の人になりました。

 

女の人は、タンポポの花が咲いているのを見つけました。

でももう、子どもだった時ほど、好きだとは思えませんでした。

お母さんに、タンポポをプレゼントしたいとも、咲いていることを知らせたいとも思えませんでした。

 

女の人は、

お母さんが、こんな小さな花で喜んでいたのは、本当じゃなかったかもしれないなって思いました。

なぜなら、もっと立派なお花やものをプレゼントしても、お母さんは心から喜んでいるようには見えなかったからです。

いつも、「悪いわね」「ごめんね」「お母さんはいいから」って、言葉のお返しをくれたからです。

 

女の人は、また心がチクッと痛みました。

 

*

 

それから月日が流れて、女の人はおばさんになって、お母さんはおばあさんになりました。

お母さんは、おばあさんになって、色んなことが上手にできなくなって、色んなことを忘れてしまうようになりました。

 

雨を眺めながら、困った顔をしたお母さんは、

「うちの子は雨が嫌いでね、雨が降ると学校に行きたくないって言うのよ」、と言いました。

 

女の人は、また心がチクッと痛みました。

 

*

 

ある日、女の人とお母さんは、お散歩に出掛けました。

 

お母さんは、道端に小さなタンポポが咲いているのを見つけました。

そして、そのタンポポを手に取って、嬉しそうに、ニコニコして言いました。

 

「うちの子はね、タンポポが大好きなのよ」

「あなたに、このタンポポあげるわね」

 

女の人は、お母さんからタンポポを受け取りました。

女の人は、黄色く元気に咲いたタンポポを眺めると、涙がこぼれました。

だけど、泣きながら笑顔を作って、「ありがとう」って大きな声で言いました。

 

あたたかい、お日さまが、心地良い日でした。

 

女の人は、お母さんが大好きです。

女の人は、お母さんとひとつでした。


*


あなたが、大好きな人と一緒にいられますように。

あなたが、大好きな人と愛し合えますように。

最後まで読んでくださってありがとうございました。


*

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